アルバム-Memory-「王子を治して…!」
ストーリーが流れた章・ステージ
終章:魔女の館-古き童話の残照
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※エンディングのネタバレが含まれます。

王子と姫は、怒り狂う魔女をなんとか鎮めることができました。
魔女との戦いでもうもうと立ち込めた煙がだんだんと晴れ上がります。

怪物から元の姿に戻った魔女はしばらく気を失っているようでしたが、
やがて目を覚まし、よろよろと立ち上がります。

「ちくしょう…大切なモノを踏みにじっておいて…許せない…」
「アイツらめ…なんで…わかってくれないんだ…」
魔女は朦朧としていて少し変なことをつぶやいていますが、
その怒りはまだ衰えていないようでした。

魔女はボロボロになった魔法の杖を二人に差し向けました。
魔法の力が光となって杖の先端に集まり鋭く輝きます。
その破壊的な力が今まさに二人に向かって放たれようとした時…

「「ごめんなさい!!!」」

……魔女はぴくりと動きを止めました。

「……ふん!ちょっと見ない間に
素直な心を少しは身に着けてきたのかい?」
「…そんなことでお前たちのしたことを許してやるとでも思うのか」

言葉とは裏腹に…
魔女からはさっきまでの怒気がなぜか感じられなくなっています。

「そういやお前は私に何か用があったんだったね」
魔女の言葉に姫は、王子を連れて
魔女に会いに来た理由を思い出します。

「そうだった…
魔女、お願い!王子の目を治してあげて!
わたし達、その為にここまで来たの!」

姫のなりふり構わぬ懸命な態度に、魔女は顔を歪めます。
その表情は怒りのようにも、愉悦のようにも思えました。

「へえ、私のコレクションと庭を焼いておいて、
よくもそう図々しくお願いができるものだ」
「しかしまあ…私は寛大な魔女だ。
お前がそれ相応の代償を支払うというのなら、
その願い、聞いてやらんこともないよ」
ねぶるような口調で魔女は言います。

「どうすればいいの…?」
「お前がここに来た理由の全て…それを貰おうかね」
「それって…」
姫は嫌な予感に背筋が冷たくなるのを感じました。

「王子さ」

「そんな…!」

「といっても王子の命を貰うわけじゃないよ、
私は魔法の代償に命は取らない主義だからね」
姫は少し安心しますが、魔女は代償の話を続けます。

「お前の王子に関する記憶を全部奪わせてもらおう。
それに、姫に変身する魔法も返してもらうよ。
あぁ、もちろん歌声は返さないよ、当たり前だね」

「本来なら目を治すのにこんなに代償は取らないんだけどね、
余った魔力はお前たちに焼かれた森を
治すのにでもつかわせてもらうさ」

狼の全てを捧げろと言わんばかりの、魔女の要求。
「どうだい?これだけの代償、お前に払えるのかい。
自分勝手で、嘘をついて生きてきたお前が、
ただのちっぽけな人間一人のために」

「…………」
姫…狼は考えます。
これまでの出来事、王子との旅、自分がしたこと。
今まで生きてきた中で一番、深く、深く考え…

「わかったわ」
「その代償を払うから…王子の目を治して!」
狼は王子のために代償を払う決断をしました。

「だめだよ!僕のために…そんなことさせられないよ!」
王子はとんでもない条件を受け入れようとする姫を
止めようとします。

姫は王子の手をにぎり、王子に語りかけます。
「いいの、王子。私は王子の目を傷付けてしまった。
だけどそれをごまかして、王子の目を治せばそれだけで
王子を仲良くしていいって思ってた。

「でもそれじゃダメだってわかったんだ。だから…」

「王子、傷付けたり、嘘ついたりして、ごめんね。」
そして王子が何かを言い返そうとした、次の瞬間…

「取引成立だね!!」
姫と王子に割り込み、魔女は魔法の儀式を始めます。

魔法の力の波によって、姫は捕らわれ、
王子は弾き飛ばされます。

「まずはその姫の姿から返してもらうよ」
魔女が指をくいと動かすと、
あっけなく姫の姿は狼へと戻ってしまいました。
もうどれだけ念じても姫の姿には戻れません。

「さて、次は代償の取り立てだね」
魔女が杖を振るうと、狼を覆う魔法の波が力強くうねります。
狼の精神はぞわぞわと魔女の魔法の力に掌握されてゆき、
意識がどんどん遠のいていきます。

「姫!!」
音を頼りに、王子は狼の方へ駆け寄ります。

王子の力では、魔女の魔法の力から
狼を引き剥がすことはできません。
王子は狼に顔に触れ、語りかけます。

「姫…僕の謝らなきゃ…あの時、化け物なんて言って…
嘘つきなんてひどいこと言ってごめんね…」

「姫の気持ちに嘘なんかなかったよ。
姫は嘘つきなんかじゃなかった…だから…」

「姫…姫が記憶をなくして、今の気持ちを忘れても、
僕が覚えてるから…!!だから、また………」

そこで狼の意識はほとんどなくなり、
王子の言葉を最後まで聞くことはできませんでした。

消え行く意識の中、狼は思います。

最後に…素直な気持ちで謝れてよかった…
王子は許してくれたかな…
仲直りできたなら、改めて友達になってもらって、
それからもっと仲良くなりたかったなあ………

そして狼の意識は、真っ白になりました。
怪物魔女との対峙
王子と狼
アルバム-Memory-一覧
序章:森囲われの城
第一章:入らずの森
第二章:巨大笠の苗床
第三章:魔女の庭
第四章:青淵の洞
第五章:罪火の森
終章:魔女の館